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金賞 | 糸魚川 恵子 | 川の生命 | |||||||||||||||||||||
銀賞 | 鎌田 なお子 | 砂の上 | |||||||||||||||||||||
銅賞 | 松崎 盛樹 | 地球の仲間 | |||||||||||||||||||||
枝廣淳子審査員賞 | 橋本 和夫 | 汚染に怒った白鳥 | |||||||||||||||||||||
織作峰子審査員賞 | 長瀬 芳伸 | 雪が解けたら | |||||||||||||||||||||
北山孝雄審査員賞 | 前田 圭三 | 川 | |||||||||||||||||||||
木元教子審査員賞 | 木村 眞也 | 水辺の彩り | |||||||||||||||||||||
竹内敏信審査員賞 | 福田 恵子 | 緑豊かな街景観 | |||||||||||||||||||||
新美春之審査員賞 | 石川 金吾 | 日本一の山 | |||||||||||||||||||||
ブラザー工業株式会社賞 | 秋田 寿美 | 空模様 | |||||||||||||||||||||
UFJニコス株式会社賞 | 古菅 正道 | 沖縄の海 | |||||||||||||||||||||
佳作 |
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一般部門 金賞 「川の生命」 / 糸魚川 恵子
場所:滋賀県醒ガ井 / 日時:2006年8月11日
場所:津市 / 日時:2006年7月9日
淀んだ川に捨てられているバイクが目につき、近づくと他にも数台あって、そこは墓場と化していました。一方清流に育つ梅花藻は、生き生きとその姿を流れに乗せ、万人の目を楽しませてくれます。地域も、梅花藻のために、水も町も汚さぬ様にと清掃に心掛け、それがまた、観光客を引きつけるのです。今回初めてプラスチックケースの中から、半水中撮影を試みて、緑の鮮やかさに驚きました。
清流の水草と、淀んだ川に捨てられたバイク。綺麗と汚いの対比が明快な分だけ、水質汚染に対する憤りを見る者に感じさせる作品です。「○」の写真に子どもを配したことで、将来のあるべき姿を実感させる効果も上げています。半水中撮影によるユニークなアングル、「○」と「×」の色鮮やかなコントラストなど、写真自体のクオリティにも目を奪われました。さらに、水の世紀といわれる21世紀にあって、大変重要になっている水の問題を取り上げた視点も高く評価されたポイントです。世界人口のさらなる増加予測に対して、絶対量が決まっている水の不足が懸念される今だからこそ、私たちはもっと水の大切さに気づくべきなのではないでしょうか。
一般部門 銀賞 「砂の上」 / 鎌田 なお子
場所:浜田浜 / 日時:2006年7月20日
場所:浜田浜 / 日時:2006年7月20日
子供達の夏の大好きな遊び場、海の砂の上で、こわいモノを発見してしまいました。どこから流れついたのか、誰がここに捨てたのか、鋭い瓶の破片が砂の上にありました。子供は、そんなこととは知らずに、はだしでとても楽しそうに走りまわっていました。
一瞬、ガラスの破片とはわからず、気がついた時にはドキッとさせられる。そんな、他作品とは異なるロジックでの表現が強いインパクトを与える作品です。痛みという人の感覚に訴えつつ、それでいて美しさを損なわない2枚一組の作品世界は、とてもシンプルで独創的。身近な「×」を感じなければ、大きな「×」も感じられない。環境問題を足下から見つめる、そうした視点のユニークさも秀逸です。
一般部門 銅賞 「地球の仲間」 / 松崎 盛樹
場所:静岡市葵区桂山玉川上流 / 日時:2006年6月1日
場所:静岡市葵区安倍川 / 日時:2006年7月15日
清流に生きる沢ガニ、小さな生命で一生懸命生きようと、今日も清流に暮らしている。しかし最近川土手は護岸工事によってコンクリート化され、川土手の緑が少くなくなって来ている。さらに川周辺の住宅建築によって汚染も目立っている。そんな中で生きる小さな生命は、住み家を失って、流されて来たゴミの中に仮住まい。紙コップの中で暮らす沢ガニたち、でも沢ガニだって人間だってみんな「地球の仲間」であることを認識してほしい。
人が捨てたゴミに住む沢ガニの姿に、心ゆさぶられます。人としての罪の意識を感じずにはいられない作品です。小さな生命への慈しみと、人の心ない行為への憤りが写真から伝わってきて、すべての審査員の気持ちをつかみ、高く評価されました。最近では、人工的なものを貝がら代わりに利用するヤドカリまで発見されているという話も聞きます。同じ「地球の仲間」として、けっして見逃してはならないことだと思います。
一般部門 枝廣淳子審査員賞 「汚染に怒った白鳥」 / 橋本 和夫
場所:徳島県阿波市尾開 / 日時:2006年6月
場所:徳島県阿波市尾開 / 日時:2006年5月午前8時
上記撮影場所に白鳥の住む湖があります。ある朝白鳥の泳ぐ姿を撮りに行きました所、2羽の白鳥が人が投げ入れたらしい布切れを互いに喰い合って持ち上げているではありませんか。何のためにしているのか不明ですが人の思考でいえば泳ぐのに邪魔になるから取り除こうとしていたのでしょうか。そうであれば人によって汚染された環境を一日も早くきれいにしてあげねばと感じました。
白鳥の親子の凛としていること!一方、2羽の白鳥のひっぱっている布切れは、人間への抗議の反旗?それともあきらめの白旗?野生動物がビニールや布切れを餌と思って食べて死に、解剖すると胃袋にビニール袋がいっぱい詰まっていた(分解できないので)という話もよく聞きます。この白鳥たち、このあとどうしたのでしょう?ほかにも布やビニールが落ちていないでしょうか?自然と人間の距離や関係について考えさせられる作品です。
一般部門 織作峰子審査員賞 「雪が解けたら」 / 長瀬 芳伸
場所:北海道三笠市川内 / 日時:2005年2月2日
場所:北海道三笠市本郷 / 日時:2005年5月15日
冬、雪はすべてを覆いつくし、厄介だがとても美しい。これは道路わきの雪、吹雪の後にできる造形です。さらに、日光と木々の影が色を付けます。しかし、雪が解けたら、隠れていたものすべてが顔を出す。待ちに待った春、気持ちよく迎えたいものです。
美しい雪景色と、春の訪れを感じさせる写真。“臭いものに蓋をする”という言葉を思い出しました。見えなければ良いという心理、人間どこかに持っていると思います。しかし、ここまでずうずうしいと腹立たしさを覚えます。これを捨てた人はここを通るたびに、いやな思いをしていることでしょう。それにしても周りに咲く美しい水仙の花、あまりにも対照的です。
一般部門 北山孝雄審査員賞 「川」 / 前田 圭三
場所:京都市北区 / 日時:2006年8月
場所:長岡京市 / 日時:2006年3月
昔から日本の川はその清い流れ故に人々の生活に深く関わって来た。その川の多くが戦後の高度成長の犠牲になって死の川になってしまい、また、人々の公徳心が薄れ川は格好のごみ捨て場になってしまった。その後、多くの人々の努力によってようやく鮭や鮎が戻って来た。これからも油断することなくきれいな水の流れる川を守り、後世にこの財産を残したい。
夢中で川に飛び込む子どもたち。自然を自分たちの遊び道具にしている子どもたち。川と戯れるその表情からは、生き生きと、楽しげな感情が伝わってきます。ゴミが捨てられ、汚れた河川を一日も早く、子どもたちの楽しめる場に再生したい。そんな作者の気概が感じられる作品です。
一般部門 木元教子審査員賞 「水辺の彩り」 / 木村 眞也
場所:青森県田代平ぐだり沼 / 日時:2005年6月30日
場所:青森県田代平沈殿池 / 日時:2006年8月25日
○は、八甲田山からの伏流水が出る所、水草が繁茂し魚が泳ぐ清流。四季を通して美しい彩りを見せる。×は、廃坑に溜まった水を流し、有害物質を沈殿させる所だという。そのことから、流れでる水質、堆積物の状態、光の状態により、怪しげなおもしろい彩りを見せる。
「あ、絵葉書にしたい」と思うほど、○も×の写真も美しい。八甲田山に流れた水は地下に潜入、清流となって再び流れ出し、水草は、陽の光や風に祝福されるように白い花を咲かせます。もう一つの水の流れは、夕焼けに染まったような美しい茜色。でもそれは、廃坑の有害物質を沈殿させるために流した水溜まりでした。ここでは、陽の光や風は人間に警告を発するような美しい色を醸し出しています。胸を刺すような対比が見事です。
一般部門 竹内敏信審査員賞 「緑豊かな街景観」 / 福田 恵子
場所:大阪市中央区 / 日時:2005年11月20日
場所:滋賀県守山市 / 日時:2005年11月11日
大阪の街を南北に貫く御堂筋。イチョウ並木が1年を通して、道行く人達を楽しませ、ゆとりと潤いのある街景観を育んでいます。一方、同じ季節に撮影したポプラ並木は、枝を幾度も切り落とされ、樹木が泣いているようです。街路樹は、私達の日々の暮しに、季節感や安らぎを与えてくれる貴重な緑です。緑豊かで魅力的な街が実現できたらいいなと考えました。
街路樹のある風景は、とても気持ちを和らげてくれます。○は、その爽快感が出ていてとても美しい写真です。しかし、作者は夏期に街路樹の枝打ちをして、緑をはぎ取ってしまうことに疑問を持っています。どうして?輝く緑をはぎ取って、骨のようにしてしまうのでしょうか。道路管理者が、毎年、決まったようにしている行為に、疑問が感じられるのです。もう少し、彼ら(樹木)を自由にさせてやれないのでしょうか。
一般部門 新美春之審査員賞 「日本一の山」 / 石川 金吾
場所:静岡県 / 日時:2006年5月
場所:静岡県 / 日時:2006年5月
○世界遺産と言われている富士山、のどかな五月晴れに泳ぐ鯉のぼりこれぞ日本一。×その反面世界一とも言われている自動車産業、今はリサイクルも行なわれているがまだまだ廃車の山が沢山見られる。
人々が捨てるゴミの問題で、富士山が世界遺産に登録されなかったのは有名な話です。この作品は、私も含めた日本人一人ひとりに猛省を促すという意味で、非常に強いインパクトがありました。「○」の写真の富士山がとても美しい分だけ、「×」の写真の富士山があまりに無残で痛々しく、“美しい国、日本”の実現はこうしたマナーの低下から正していかなければならないとあらためて実感した次第です。
一般部門 ブラザー工業株式会社賞 「空模様」 / 秋田 寿美
場所:大阪市鶴見緑地公園 / 日時:2005年9月中旬
場所:大阪市内 / 日時:2006年2月上旬
四季折々の空、刻々と変化する雲、私達は嬉しいとき、悲しいとき、寂しいとき、様々なときに空を見上げては、未来への勇気と希望を、空から与えられ暮らしてきました。大気の汚染が問題になっている現在ですが、国境なき壮大な大自然、空を汚染することなく、表情豊かな美しい空が、永遠に続くよう願っています。
なにより「×」の写真の煙がおどろおどろしく、大変ショックを受けました。何を燃やしたらこんな色が出るのか、こうした煙が大気を覆っていく様を想像するだけでも暗澹たる気持ちにさせられます。しかし、「○」の写真も同じ大阪で撮影されたものだと気づいたとき、「こんなにも美しい青空がまだ残っているのだから、まだ間に合う、一人ひとりの努力で何かができるはずだ」という勇気も同時にわいてくる作品です。
一般部門 UFJニコス株式会社賞 「沖縄の海」 / 古菅 正道
場所:沖縄県本部町 / 日時:2006年8月15日
場所:沖縄県本部町 / 日時:2006年8月15日
とてもキレイに見える沖縄の海、しかし「○」の写真に写っている船のほんの5m先の海底にはこんなに沢山のゴミが捨てて有りました。見えるゴミはキレイにできます、でも見えないゴミは片付けられません。海の底に沈んだゴミを捨てたのが、海に遊びに来た人や、海で生活の糧を得ている人達だとすればとても悲しい事です。
キレイと汚いを対比させる作品は数多くありました。しかし本作品は、「一見するとキレイだが、しかしよーく見ると…」という表現のユニークさが秀逸。美しい沖縄の海の隠れた問題を、目に見えるカタチで問題提起しています。ゴミが散乱している「×」の写真であっても透明感あふれる沖縄の海。まだ間に合ううちになんとかしなければと感じるのは、すべての日本人に共通する想いではないでしょうか。